七夕ものがたり

「七夕ものがたり」

1. 昔むかし、天の川の西の岸に、天のみかどの娘で織り姫という美しい娘がいました。織り姫は、天に住む人々の着物を縫うために、毎日毎日、機織りをしていたのです。

2. そんな娘をみて、天のみかどは、これでは姫がかわいそうだ。いつまでもひとりでは寂しいだろうから、結婚させたらどうだろう、と思い立ち、早速お婿さん探し。

3. やがて、天の川の東の岸にいる彦星という若者を見つけました。いつもせっせと牛の世話をしています。天のみかどは、彦星を織り姫のお婿さんに決めたのです。

4. ふたりは、お互いひとめで相手が気に入り、とても仲のよい夫婦になりました。ところが、ふたりは毎日毎日遊んでばかり。ちっとも仕事をしなくなってしまったのです。

5. 織り姫が機織りをしないので、天の人々は着物を新しくすることができません。彦星が世話をしないので、牛たちもえさをもらえず、やせほそってしまいました。

6. この様子を見て、困ってしまったのは天のみかど。もう一緒に暮らすことはゆるさん！元通り、東と西に分かれて暮らすがいい！と、ふたりを引き離してしまいました。

7. ふたりの間には大きな大きな天の川が行く手をはばみます…。

8. それからの毎日、織り姫は泣いてばかり。天のみかどもさすがにかわいそうになり、「織り姫よ、そんなに彦星が恋しいか…。では一年に一度、七月七日の夜にだけ、会うことを許してやろう。」

9.それからは、一年に一度会う日を楽しみに、織り姫はいっしょうけんめい、機を織るようになりました。彦星も、せっせと牛の世話をして、牛たちも元気いっぱいです。

10. そして、待ちに待った七月七日の夜。しかし、もしこの日、雨が降ると天の川の水が増えて、わたれなくなってしまいます。

11. そんなときは、どこからともなくたくさんのカササギが飛んできて、天の川に鳥の橋が架かり、ふたりをわたしてくれるのです。

12. めでたしめでたし…。