夏の星座解説

「夏の星座解説」

1. 夏の夜、空を見上げると、まず目につくのが３つの明るい星をつないでできる、大きな三角形。この夏の大三角星の中で一番明るい星は、こと座のベガ。こと座は西洋の竪琴をかたどった、ちいさな星座です。ベガは、日本では昔から、七夕の織り姫星として親しまれてきました。

2. 一年に一度、七月七日の夜にだけ恋人に会えるという、七夕伝説の織り姫です。彦星の方は大三角をつくる星、アルタイル。この彦星と、織り姫の間に流れているのが天の川。星がよく見えるところに行くと、ぼうっとした雲のようなものが頭の上から地面へ向かって流れているのがわかります。織り姫と彦星は、お話のとおり、天の川の両岸にわかれわかれになっているのです。

3. 夏の大三角の３つ目の星は、はくちょう座のデネブ。デネブはおしり、とかしっぽ、という意味で、はくちょうのしっぽの部分に輝く星。天の川の中に、デネブを含む５つの星で作られた大きな十字架の形に、羽を広げて飛ぶはくちょうの姿をあてはめたのが、はくちょう座です。実は、デネブは遠い将来、北の空で「北極星」として輝く星となるのです。

4. 地球は一日一回、自転しています。この自転の軸をまっすぐのばした方向にある星が、一年中、つねに北を指している「北極星」。今は、こぐま座のしっぽの先にある星ですが、自転の軸はゆっくり時間をかけてほんの少しずつずれていっているので、8300年後には、軸の向いている方向がこぐま座からはくちょう座にうつり、デネブが北極星になる、というわけなのです。

5. 夏の大三角から、天の川を伝って南の空、低いところへ目を移してみると、きれいなS字カーブを描く星のならびが見つかります。この星座はさそり座です。

6. さそり座の心臓のところに赤く輝く星の名前は、アンタレス。「火星に対抗するもの」という意味の、「アンチ・アーレス」から来ています。